冬の電気代を下げる窓の断熱対策|内窓・Low-E・真空ガラスの効果を徹底比較
目次
はじめに:冬の電気代が上がる本当の理由は「窓」でした
冬になると、暖房をつけても部屋がなかなか暖まらず、「去年より電気代が高い…」と感じる方は多いはずです。
実はその原因、
“窓”にあります。
国の調査では、冬の熱の流出量のうち 約58パーセントの熱が窓からの熱損失。壁・床・天井より、圧倒的に影響が大きい場所なのです。
なぜ冬の電気代が上がる?熱が逃げる最大の場所は窓
実は窓は閉めていても、窓からの熱損失が住宅の半分以上にもなるんです。
住宅の熱が逃げる割合は以下の通りです。
- 窓:58%
- 壁:15%
- 換気:15%
- 床・屋根:12%
窓の影響が非常に大きいことが分かります。

単板ガラスは冷気を通しやすい構造
1枚ガラス(単板ガラス)は熱伝導率が高く、外の冷気を室内へダイレクトに伝えてしまいます。
省エネ家電だけでは“根本的な節約”にならない理由
「省エネエアコンに買い替えれば電気代が下がる」と思われがちですが、家電の効率より、家側の断熱性能のほうが電気代に大きく影響します。
窓の断熱性が低いままだと——
- 暖房の効きが悪い
- 設定温度を上げざるを得ない
- 暖房を切るとすぐ寒くなる
つまり、どれだけ省エネ家電にしても“熱が逃げる”状態は変わりません。根本対策にならず、電気代は下がりにくいのです。
今日から試せる「DIYの窓断熱対策」
断熱シート
貼るだけでガラス表面の冷えを軽減。効果は限定的。
厚手カーテン・床まで届くカーテン
窓からの冷気を遮断。丈が短いと効果半減。
すきまテープ
アルミサッシの劣化によるすきま風を改善。
結露防止テープ
ガラス下部の結露・冷えを軽減する補助的な対策。

根本的に寒さを解決する「窓の断熱リフォーム」
DIY対策と比較すると、効果が一段と大きいのが窓そのものの改善です。
二重窓(内窓)
二重窓は既存窓の内側に新しい樹脂窓を追加する方法になります。築古住宅との相性が特に良い対策です。
複層ガラス(ペアガラス)
2枚のガラスと空気層で、熱を伝えにくくする構造になります。
Low-E複層ガラス(断熱型)
Low-E金属膜が暖房熱を反射し、冬の暖かさを逃がしにくいガラス。
※夏は遮熱型が有効。
真空ガラス(スペーシア)
2枚ガラスの間を“真空”にすることで熱をほとんど伝えない構造。
- 1枚ガラスと同じ厚みで入れ替え可能
- マンションへの導入に最適
どれが一番暖かい?断熱性能を数値で比較
断熱性能の指標として使われるのが U値(熱貫流率)。数値が低いほど断熱性能が高くなります。
窓の断熱性能 比較表
|
窓の構成(サッシ+ガラス) |
ガラス単体U値 |
サッシ込みの窓U値 |
断熱性能 |
備考 |
|
アルミサッシ+単板ガラス |
5.7〜6.0 |
6.5〜7.0 |
★☆☆☆☆ |
冬とても寒い。結露も多い |
|
アルミサッシ+複層ガラス(空気層6mm) |
3.4〜4.0 |
4.5〜5.0 |
★★☆☆☆ |
「複層ガラスなのに寒い」原因はサッシ |
|
アルミサッシ+複層ガラス(アルゴン12mm) |
2.7〜3.0 |
3.5〜4.0 |
★★★☆☆ |
一般的な新築でまだよく使われる |
|
アルミサッシ+Low-E複層ガラス(遮熱型) |
1.6〜2.5 |
2.6〜3.3 |
★★★☆☆ |
夏向け。冬は断熱型の方が◎ |
|
アルミサッシ+Low-E複層ガラス(断熱型) |
1.6〜2.5 |
2.4〜3.0 |
★★★☆☆ |
冬の断熱は最も現実的に効果が出る |
|
アルミサッシ+真空ガラス(スペーシア) |
1.0〜1.4 |
2.0〜2.7 |
★★★★☆ |
ガラス性能は最強だがサッシが足を引っ張る |
|
アルミサッシ+内窓(二重窓)併用 |
5.7〜2.5(内窓側) |
1.8〜3.2(窓全体) |
★★★★★ |
実質 |
[参考]内窓の熱貫流率 https://www.jsma.or.jp/Portals/0/images/useful/technology/20-1101.pdf
※内窓=窓としての断熱性能、ガラス=アルミサッシ+ガラスの熱貫流率
電気代はどれくらい下がる?実際の節約効果
|
対策 |
削減率 |
年間の節約額(40㎡リビング) |
|
単板 → 複層 |
5〜10% |
3,000〜7,000円 |
|
単板 → Low-E |
10〜20% |
7,000〜15,000円 |
|
単板 → 真空 |
15〜25% |
10,000〜20,000円 |
|
内窓追加 |
20〜30% |
15,000〜30,000円 |
参考文献:部分断熱改修の進め方と効果 ~実証事業で得られた知見~|部分断熱等改修実証委員会(令和6年6月)
家のタイプ別、最適な断熱方法
一戸建て
内窓設置か Low-E複層ガラスがおすすめ。効果が出やすく、費用対効果が高いものになります。
マンション
真空ガラス(スペーシア)がおすすめ。サッシ交換不要で窓の性能アップが可能になります
あわせて読みたいコラム「マンションでも窓リフォームは出来る?窓ガラス交換の費用や注意点」│窓リフォーム研究所
賃貸
DIY断熱か厚手のカーテンがおすすめ。原状回復の必要があるため、取り外し可能な方法が安心です。
あわせて読みたいコラム「DIYで窓断熱を行う方法とその効果」│窓リフォーム研究所
補助金で費用を抑えて賢く断熱リフォーム
2025年度には「先進的窓リノベ事業」という補助事業が実施されています。。対象製品は以下のようなものがあります
- 内窓
- Low-E複層ガラス
- 真空ガラス
補助額は 1窓あたり数千〜数万円 と大きく、複数箇所を同時に施工すると負担が大幅に軽減されます。
※申請期限は2025年12月31日まで
あわせて読みたいコラム「【2025年度】窓リフォームに利用できる補助金・助成金制度!支援内容や補助額・申請の流れ」│窓リフォーム研究所
※2026年度も「住宅省エネ2026キャンペーン」が継続する予定です
専門店への相談が安心な理由
窓のリフォームは、家の構造・サッシの状態・方位・地域気候など条件によって最適な選択肢が異なります。
専門店に相談すると、
- 最適なガラスの選定
- 補助金対象製品の案内
- 工事の可否・費用の目安
など、総合的なアドバイスを受けられます。
まとめ:冬の電気代を下げたいなら“窓断熱”が最も効果的
- 熱の50%以上は窓から逃げる
- DIY対策は手軽だが効果は限定的
- 内窓・Low-E・真空ガラスは効果が大きい
- 補助金で費用を抑えられる
省エネ家電より“窓の断熱”こそが、電気代節約の本命。
暖かく快適な冬を過ごすためにも、まずは自宅の窓を見直してみませんか?
窓リフォーム研究所
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