窓リフォームに使える補助金・助成金の種類と申請方法
リフォームを検討されるときに、気になるのはその費用ですよね。お得にリフォームできる方法があるのをご存知ですか?その方法はずばり補助金の活用です。どのような補助金があるのか、また、その申請方法とは?窓リフォームに適用される補助金「既存住宅における断熱リフォーム支援事業(旧呼称:「断熱リノベ」)」等についてご紹介します。
目次
窓のリフォームには補助制度がある
補助金・助成金には、国で行っている制度と、自治体で行っている制度があります。そして、国・自治体による制度の中に窓の断熱リフォームを対象にしたものが多く存在しています。国・自体によって財源・運営団体が異なってきますが、住宅の窓リフォームに利用できる制度として、主に以下の3つの補助金があります。
財源・運営 | 補助金・助成金の名称 |
国 | ①既存住宅における断熱リフォーム支援事業 |
②次世代省エネ建材支援事業(次世代建材) | |
地方自治体 | 各種断熱リフォーム補助金(自治体により名称が異なる) |
例:東京都の場合 | |
家庭における熱の有効利用促進事業(高断熱窓・ドア) |
また、窓リフォームを対象とした補助金であっても、使い勝手の面がそれぞれ異なってきます。ここでは、窓リフォームに適した「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」(旧呼称:「断熱リノベ」)と地方自治体が運営している補助金の代表例として、「家庭における熱の有効利用促進事業(高断熱窓・ドア)」の概要について説明していきます。
補助金の概要
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」
一定の省エネ効果(15%以上)が見込まれる高性能な建材(断熱材、ガラス、窓)などを用いた住宅の断熱リフォームを支援する制度で、環境省が運営しています。戸建住宅・集合住宅(マンション)の場合で要件が異なりますが、集合住宅(マンション)の大規模改修工事などで使用することも可能なため、主に集合住宅(マンション)で多く用いられています。
「家庭における熱の有効利用促進事業(高断熱窓・ドア)」
家庭における熱の有効利用を推進する目的で、東京都が運営しています。都内の既存住宅に設置されている窓及びドアを、高断熱窓及び高断熱ドアに改修する方に対して、その経費の一部を助成するという内容になっています。こちらは戸建住宅・集合住宅(マンション)も同じ要件のため、戸建住宅・集合住宅(マンション)問わず広く用いられています。
補助制度毎に申請できる住宅の条件が定められていたり、窓リフォームに使える建材の指定があったりと、要件が定められています。そのため、各補助制度の細かい要件を予め確認しておくことが重要です。では、具体的な中身をみていきましょう。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
令和3年度は北海道環境財団(以下「財団」という)が事業の執行団体となります。年度によって制度が変更となることもあるので、令和3年度の内容を中心に記載していきます。
また窓リフォームを実施される方の大半が集合住宅(マンション)であるため、集合住宅(マンション)向けの内容についてフォーカスしていきます。
補助対象となる製品と補助額
集合住宅(マンション)における対象製品と補助率・補助額については、下表の通りとなります。
住宅区分 | 集合住宅(マンション) | |
個別 | 集合全体 | |
申請者 | 個人の所有者または 所有予定者 | 管理組合の代表者 |
対象製品 | 断熱材・ガラス・窓 | |
補助率 | 補助対象経費の1/3以内 | |
補助上限額 |
1戸あたり15万円 ※戸建て住宅1戸当たり120万 |
申請者に関しては、所有者自身が常時居住する住戸のみ対象となる点に注意しておく必要があります。では、補助となる要件や申請方法、申請期間などについてもみていきましょう。
補助要件
執行団体である北海道環境財団に予め登録された製品でかつ未使用品(中古品ではダメ)が前提となります。どのような製品が登録されているかは財団のHPから確認することが可能になっています。
また、窓・ガラスの製品に関しては、使用する製品のグレードによって、窓面積(平方メートル)あたりの補助単価が異なってきます。したがって、よりグレードの高い製品を導入した方が助成される額が大きくなるという仕組みになっているのです。
補助単価の例
グレード/改修方法 | 窓の改修 | ガラスの改修 | |
内窓設置 | カバー工法 | ガラス交換 | |
W5(2.33以下) | 30,000円/㎡ | - | - |
G1(1.5以下) | - | 30,000円/㎡ | 30,000円/㎡ |
G2(1.6~2.3) | - | 20,000円/㎡ | 20,000円/㎡ |
※カッコ内の数字は性能値である熱貫流率を表しております。
W5:窓の熱貫流率、G1・G2:ガラス中央部の熱貫流率
また、要件として集合住宅(マンション)の全窓をリフォームすることが必要となっている点にも注意が必要です。
どのような製品がどのグレードに該当するかは、先ほどご紹介した財団のHPでも確認することができますが、一押しなのはG1グレードとして登録されている真空ガラス「スペーシア」です。
断熱性能や結露防止性能が高いことに加え、施工性が高いので、数多くのマンション物件で実際に採用されています。折角リフォームするのであれば、グレードの高い製品をお得に導入したいですよね。
補助額の計算例
なかなかイメージがわきにくいと思いますので、実際の補助額の計算例をお示しします。
今回の例では実際にかかる費用より、約11万円お得になる試算となっています。
申請の流れ
申請の流れは次の通りですが、ポイントとしては工事を行う前に事前に申請・審査を受けることが必要となります。
2022年度申請期間
①戸建住宅・集合住宅(マンション)の個別
一次公募:2022年3月14日(月)~2022年6月3日(金)
②集合住宅(マンション)の全体
一次公募:2022年3月14日(月)~2022年6月3日(金)
2021年度申請期間(参考)
事業年度によってスケジュールは変わりますが、令和3年度のスケジュールを記載します。
①戸建住宅・集合住宅(マンション)の個別
一次公募:2021年3月23日(火)~2021年5月14日(金)終了
二次公募:2021年6月7日(月)2021年7月26日(月)終了
三次公募:2021年8月10日(火)~2021年10月25日(月)終了
※公募期間締切日が9月24日(金)より延長しています。
四次公募:2021年12月27日(月)~2022年2月28日(月) 終了
②集合住宅(マンション)の全体
一次公募:2021年3月23日(火)~2021年5月14日(金)終了
追加公募:2021年6月7日(月)2021年7月26日(月)終了
三次公募:2021年8月10日(火)~2021年10月25日(月)終了
※公募期間締切日が9月24日(金)より延長しています。
四次公募:2021年12月27日(月)~2022年2月28日(月)
必要書類
申請書の他、平面図、窓の姿図、見積書、住民票の写し 等
非常にややこしく複雑なように感じますが、リフォーム会社やガラス店等による手続き代行も可能になっているので、まずは業者に相談してみるのもポイントです。
家庭における熱の有効利用促進事業(高断熱窓・ドア)
東京都で実施している「家庭における熱の有効利用促進事業(高断熱窓・ドア)」ですが、先ほど説明した「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」に似通った部分もありますので、主に相違点を中心に説明していきます。
※令和4年1月1日~3月31日申請分については下記表の通り補助内容が変更になっています。
補助対象となる製品と補助額
対象製品と補助率・補助額については、下表の通りとなります。
住宅区分 | 戸建住宅 | 集合住宅(マンション) | |
個別 | 集合住宅 | ||
申請者 | 個人の所有者 | 管理組合の代表者 | |
対象製品 | ガラス・窓 | ||
補助率 |
助成対象経費の1/6以内 ※令和4年1月1日~3月31日申請分は1/3以内 |
||
補助上限額 |
1戸あたり50万円 ※令和4年1月1日~3月31日申請分は100万円 |
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」と比較すると、補助率が1/6である点に注意が必要です。一方、1戸あたりの補助上限額は50万円とこちらの方が大きくなっています。また戸建住宅・集合住宅(マンション)と共に同じ要件になっているので、どちらにも用いやすいという点も挙げられます。
補助要件
「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援(断熱リノベ)」においてSIIに登録された製品を用いた改修工事が対象となります。したがって、補助対象となる製品は共通ということになります。
また、東京都の補助金では、グレードによる補助単価の違いは存在しません。
加えて、「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」との大きな違いとして、必要となる改修範囲が大きく異なる点にも注意が必要です。
<改修範囲の違い>
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」の場合
集合住宅(マンション)では、全窓の改修を実施する必要あり
「家庭における熱の有効利用促進事業(高断熱窓・ドア)」の場合
戸建住宅、集合住宅(マンション)共に、最低1居室の全ての窓の改修が必要
少し補足しますと、「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」が住戸単位である点に対し、東京都の補助金は最低1居室の窓の工事が必要である点が大きな違いで、全居室や全窓の改修を必要としないケースでおすすめです。また、東京都の補助金では、最低1居室の改修を実施すれば、2居室目以降は1箇所単位で追加工事を行う場合も助成対象とすることができます。例えば、リビングの全窓+寝室の1窓みたいな組み合わせも可能です。
申請の流れ
申請の流れは次の通りですが、ポイントとしては工事を行う前に事前に申請・審査を受けることが必要となります。
申請期間
事業年度によってスケジュールは変わる可能性がありますが、現在のスケジュールは以下の通りです。
・2020年7月15日~2022年3月31日まで
※東京都の助成制度は予め2年度分の予算を準備しています
必要書類
申請書の他、助成対象住宅の写真 等
こちらもリフォーム会社やガラス店等による手続き代行も可能になっているので、まずは業者に相談して必要書類や申請スケジュールなどを予め確認しておくことをおすすめします。
そして、これから最も重要なポイントを記載します。東京都にお住まいの方限定となってしまいますが。実は「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」と「家庭における熱の有効利用促進事業(高断熱窓・ドア)」は、併用することができるんです。1戸あたりの補助額に上限はあるものの、国の補助金で1/3、東京都の補助金で1/6ということなので、条件が揃えばMAXで1/2補助されるというケースも中にはあり得るということになります。これは非常に大きい話ですよね。
まとめ
自動車や住宅の購入に補助金や助成金があるのは広く知られていますが、窓リフォームにも補助金があるとはご存知でしたか?実は、お住まいの市区町村のHPで事前に確認してみる等、しっかりと準備をすることで、賢くお得に窓リフォームを実施することができたりします。みなさんも窓リフォームを検討される際、まずはリフォーム会社やガラス店等へ補助金・助成金が使用できるかどうか確認してみてはいかがでしょうか。

窓リフォーム研究所

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