樹脂サッシとは?特徴や気になるメリット・デメリット

2023.12.202021.03.05断熱窓ガラスの知識
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近年では、様々なタイプのサッシがラインナップされています。最新のサッシは「樹脂サッシ」と呼ばれるものになります。樹脂サッシとはどのようなサッシでしょうか?

一般的なアルミサッシとの違いはどのような点が挙げられるでしょうか?

今回は、サッシの材質ごとの特徴や、サッシに合った最適なガラスの選択について考察します。

樹脂サッシとは

日本と世界の窓の簡単な歴史

みなさんは、窓サッシの材質について、気にされたことがあるでしょうか。

日本の窓の歴史は、旧石器時代のただ穴が空いただけのものから始まり、平安時代には板を上げ下げするもの、室町時代には木枠に和紙を張ったものが登場します。それ以降、障子窓が主流でしたが、現代のようにサッシ枠にガラスがはめられた窓が登場するのは、1900年前後、ガラス工業が発展を始めてからとなります。

当初、サッシ枠は木製が主流でしたが、昭和30年代からアルミ製のものが住宅用サッシに普及し、昭和50年頃には新築住宅窓のほとんどがアルミサッシになりました。この時に窓ガラスは一枚ガラスとなります。

この当時、欧米ではオイルショック(1970年)を契機に、エネルギー削減を目的とした家の断熱化が始まり、窓サッシ材質は樹脂製に切り替えられ、ガラスも複層ガラスからトリプル複層ガラスへと切り替えが進みました。

現在、欧米、強いては韓国においては樹脂窓が主流であり、アルミ製サッシの登場から製品改良に力を注いできた日本は、その性能値において大幅に遅れを取っています。

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出典:樹脂サッシ工業会サイト

現在の日本の窓

日本でも、京都議定書(COP3・1997年)、パリ協定(COP21・2015年)を契機に、地球温暖化対策に取り組みが求められたことで、住宅の省エネ化と共に、窓の断熱化が一気に促進しています。

その中で注目されているのが樹脂サッシ窓です。

樹脂サッシ窓は、塩化ビニル樹脂から成型されたサッシ枠に複層ガラスなどで構成された窓です。

省エネ推進国であるドイツ発祥の樹脂サッシ窓は、断熱性・機密性に優れ、寒さの厳しい環境である北欧・北米、近年では中国・韓国で急速に普及が進んでいます。日本においては、北海道での普及率は約90%を占めています。

 

樹脂サッシのメリット・デメリット

現在、住宅用として急速に伸びている樹脂サッシ窓ですが、そこに至るまでには、アルミサッシ→アルミ熱遮断構造サッシ→アルミ樹脂複合構造サッシ(複合サッシ)→樹脂サッシと変遷しています。

各種サッシの構成について

ここで、各種サッシについて簡単に紹介します。

・アルミサッシ:サッシ全体がアルミニウムで構成されたものになります。素材として耐久性があり加工もし易いアルミですが、熱を伝えやすいことがデメリットで、暑さ、寒さをサッシで対策することはできません。

・アルミ樹脂複合サッシ:室外側をアルミニウム、室内側を樹脂で構成されたもので、アルミの耐久性と樹脂の熱の伝えにくさの利点を活かしたサッシで、東北以西の新築住宅で普及が拡大しています

・樹脂サッシ:サッシ全体を樹脂で構成されたもので、樹脂の熱の伝えにくさの利点を生かしたサッシになります。

 

それでは、現在の新築住宅で普及が拡大している樹脂サッシのメリット・デメリットについて確認してみましょう。

樹脂サッシのメリット

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断熱性が高い

窓はサッシとガラスの組み合わせで構成されていますが、サッシとガラスの組み合わせでの性能値についてみてみましょう。

■各種サッシ・ガラスの組み合わせによる窓の断熱性能

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WindEyeGlass(日本板硝子製のガラスにて算出)

樹脂サッシは、アルミサッシと比較して、窓(サッシ+ガラス)の性能値は約2.6倍の断熱性能となります。樹脂が熱を伝えにくく、その熱の伝わりにくさはアルミの1/1000程度とされています。断熱性能が高いと得られるメリットとしては、

・室内温度の安定性

・安定した温度から得られる省エネルギー効果

・光熱費の削減 

というようなことが挙げられます。

また、断熱性能を上げることで、冬の寒さや温度差によっておこるヒートショックの対策となります。

部屋が冬寒いのはなぜ?窓ガラスと断熱の仕組み | 窓リフォーム研究所 (shinku-glass.jp)

ヒートショックについての説明はこちら

結露が生じにくくなる

樹脂サッシは、熱の伝わりが少なく、室内側サッシの表面も冷え難いため結露を軽減することが可能です。

結露の発生についての詳細はこちら

結露を軽減することで、結露を原因として窓廻りに発生するカビ・ダニを防ぐことで快適な室内を実現することが可能となります。

防音効果が期待できる

樹脂サッシはとても気密性が高い製品になります。この気密性はサッシの隙間から漏れる空気の量が少ないことを意味します。そして、その気密性の高さはそのまま、サッシの隙間から漏れる音が少なくなることも意味します。

窓の防音・遮音対策の方法についてはこちら

 

樹脂サッシのデメリット

紫外線に弱くアルミサッシに比べて劣化が早い

気密性・断熱性に優れる樹脂ですが、アルミと比較して、紫外線に弱いという弱点も持っています。樹脂製の洗濯ばさみを屋外で使用していると、その劣化性(色の変化、素材の硬化、変形)がその例となりますが、紫外線によって劣化をしてしまうと、形が変わってしまうという可能性があります。そのため、紫外線の影響を多く受けやすい南面に設置する際には、日射熱対策の必要があります。

価格が高い

アルミサッシと共に歩んできた日本の窓は、アルミサッシの改良改善は進められてきましたが、樹脂サッシは2004年あたりから本格的に市場に出てきた商品となります。海外では樹脂サッシが新築住宅のメイン商材となるため、海外と比較すると歴史が浅い日本の樹脂サッシはまだ価格帯が高いものになっています。

樹脂サッシのデメリットを克服するような方法はないのでしょうか。次にその方法について思考します。

 

樹脂サッシの耐久性

樹脂サッシの寿命は約30~50年

樹脂サッシの耐久年数は50年ともいわれていますが、使用箇所、状況によっては劣化が早くなってしまいます。樹脂サッシの劣化する原因は紫外線によるもので、劣化が進むと「チョーキング」現象(サッシの表面に白い粉が発生)が起きてしまいます。太陽光が当たりやすい箇所に設置する際には、考慮が必要です。

樹脂サッシの紫外線対策方法

樹脂サッシの紫外線対策として、劣化が進んできたタイミングで、塗装をほどこすという方法があります。ただ、樹脂サッシの塗装には、高い技術・知識を要し、またサッシ用塗料の耐用年数は5~10年程度とされ、屋根、外壁同様、定期的なメンテナンスが必要となってきます。

樹脂サッシの紫外線対策としては、他に、次に紹介する「複合サッシ」との併用という方法もあります。

アルミサッシ・アルミ樹脂複合サッシとの比較

アルミサッシとの比較

冒頭で少し触れたアルミサッシですが、樹脂サッシと比較した優位性は「耐久性」「軽さ」「価格」が上げられます。その反面、熱を伝えやすいという大きなデメリットがあります。

樹脂は紫外線に弱いという弱点があり、使用箇所、状況によっては劣化が早くなってしまいます。

アルミは軽くて丈夫であるため、耐久性に優れていますが、アルミそのものが熱を伝えやすい素材であるため、窓としての断熱性能が劣り、結露しやすい窓となってしまいます。

今後、日本でも新築住宅に対する省エネ性能が求められており、新築住宅での採用は減少していく可能性が考えられます。

アルミ樹脂複合サッシとの比較

性能値としては、樹脂サッシで構成された窓と比較すると、断熱性能は3割ほど劣ってしまいますが、室外側をアルミ、室内側を樹脂で構成されたもので、アルミの耐久性と樹脂の熱の伝えにくさの利点を生かしたサッシになります。

樹脂サッシの弱点である紫外線対応が必要か箇所(南面、西面等)には、複合サッシの採用をするなど、使い分けもおススメです。 

樹脂サッシの効果を最大化するためのガラス選択とは

樹脂サッシに見合ったガラス選択

ここまでお話してきた通り、樹脂サッシは、非常に高断熱・高気密なサッシですが、その弱点として、その耐久性が挙げられてきました。

では、樹脂サッシに見合ったガラス選択とはどのようなものでしょうか?

以下の表は再掲となりますが、サッシの材質と共にガラスの種類についても着目が必要です。アルミから樹脂サッシへサッシのグレードが上がるにつれて、ガラスのグレードも「単板ガラス」⇒「複層ガラス」⇒「Low-E複層ガラス」⇒「Low-E複層ガラス(アルゴンガス)」⇒「トリプル複層ガラス(アルゴンガス)」と上がっているのです。

つまり、樹脂サッシの様な断熱性の高いサッシには、同様にグレードの高いガラスを選択することで、性能を最大限引き出すことが可能となっているのです。

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WindEyeGlass(日本板硝子製のガラスにて算出)

樹脂サッシに最適なガラス

樹脂サッシと組み合せるガラスとしては、Low-E複層ガラスやトリプル複層ガラスという3層複層ガラスを組み合せることが一般的ですが、折角サッシにこだわっているので、ガラスにもこだわりたいという方には、真空ガラスと組み合せるという選択肢もございます。

下表は、樹脂サッシと真空ガラスを組み合せた場合の窓の断熱性能を示したものです。

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WindEyeGlass(日本板硝子製のガラスにて算出)

真空ガラスを採用するメリットとしては、トリプル複層ガラスと比較して断熱性能の向上が期待できる点と重量を抑えられるといった点が挙げられます。

例えば、テラス窓(W800㎜*H2200㎜)のトリプル複層ガラスはガラスだけで、40キロになる一方、真空ガラス「スーパースペーシア」は35キロとなり、またその厚みもトリプルガラスは30ミリ近くになるのに対し、真空ガラスは8.2ミリと薄く設定することができます。

 

アルミ樹脂複合サッシの場合は?

樹脂サッシのデメリットなどを考えると、アルミ樹脂複合サッシで十分という方もいらっしゃると思います。その場合もガラスの選択がとても重要です。アルミ樹脂複合サッシでも、真空ガラスなど断熱性能の高いガラスを使用すると、実は樹脂サッシ+Low-E複層ガラス以上の断熱性能が期待できます。

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WindEyeGlass(日本板硝子製のガラスにて算出)

スペーシア21はトリプル構成の真空複層ガラスとなりますが、中空層にアルゴンガスを封入することで、通常のトリプルガラスより断熱性能を高めたものになります。アルミ樹脂複合サッシの強みである強度を活かし、トリプル真空ガラスの採用も選択肢として可能です。

また、断熱性能を重視し、また、サッシへの重量負荷を少なくするという点では、真空ガラス「スーパースペーシア」の採用もおススメです。

まとめ

このように、性能の良い樹脂サッシ・アルミ樹脂複合サッシを選択されても、ガラスの性能値が低くてはせっかくのサッシの機能を発揮できません。窓としての性能を機能させるべく、また設置箇所によってサッシ・ガラスをしっかり検討・選択してみては如何でしょうか?

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